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生活用品による化学物質暴露と健康リスク評価 講演会の開催 | 兵庫県立健康生活科学研究所 健康科学研究センター

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Academic year: 2018

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生活用品による化学物質暴露と健康リスク評価

生活科学総合センター相談事業部主査 青木幸生

1 はじめに

近年、シックハウス症候群など建材から放散される化学物質に加えて、家具、壁紙、カ

ーペット、家電製品、洗濯仕()など、様々な製品から放散される化学物質による健康被

害が消費者分野において問題となっている。

そこで、消費者製品による化学物質の暴露量を明らかにし、有害性情報と比較し、消費

者のリスクを数値化し、科学的に判断することが重要となっている。STにおいては、こ

れOでに、様々な建P材料や生活用品から放散される化学物質について、JIS A1901小形

チャンバー法をベースに、その放散種や放散速度を継続的に調査している。Oた、製品由

来の化学物質の経皮経路によるヒト吸収量の推算を行うため、皮脂膜への移行を模し、人工

汗液を用いた溶出試験による皮膚移行速度の測定も試行している。加えて、これらの実測デ

ータと推算モデルを用いた消費者製品のリスク評価に関する調査研究にも取り組んでいる。

本講座では、①化学物質によるリスクの考え方、②リスク評価の流れ、③暴露シナリオ・

暴露係数、④暴露量の推算とリスク判定(ECETOC TRA)、⑤STにおける消費者製品のリ

スク評価例について解説する。

2 製品由来の化学物質のリスク評価 2-1. 化学物質によるリスクの考え方

リスク(危険の度合い)は、化学物質のハザード(有害性)と暴露量(摂取量)によって表さ

れる。化学物質の有害性が高くとも、暴露量を制御することにより、化学物質によるリス

クを低減させることができる。

2-2.リスク評価の流れ

リスク評価を行うためのシナリオを設定し、必要な暴露係数を求める。次に、有害性評

価と暴露評価をそれぞれ行い、その結果を比較し、リスク判定を行う。リスクがある場合

は、より精密なシナリオを検討する。

2-3. 暴露シナリオ・暴露係数

暴露シナリオでは、暴露条件を数値的に把握する。設定にSたって考慮する項目として

は、対象化学物質、対象者、空間条件、時間条件、暴露経路等がある。消費者製品は多岐

に渡り、化学物質としては混合物が多く、Oた、成形品中に含有される化学物質に対する

評価となる。使用者の分布も広く、使用方法も様々であるため、消費者暴露シナリオは複

雑である。暴露係数の設定にあたっては、国内外のデータベースを活用する。

2-4. 暴露量の推算とリスク判定(ECETOC TRA)

暴露評価への理解を深めるため、最も簡易な推算システムの一つであるECETOC TRA

を例にして紹介する。TRA は、REACH

規制にある暴露推定のために、ECETOC(欧州

化学物質生態毒性および毒性センター)が開発した評価システムであり、一般公開されて

(2)

ールでは、製品毎にデフォルト値が用意されているので、文献値や実測値がなくとも、シ

ステム搭載のシナリオ条件下における推算を行うことが可能である。製品毎、経路毎の暴

露量のイメージを掴み易く、ここでは、暴露シナリオと暴露量、リスク特性比の関係を把

握する。アルゴリズムは安全側評価の特徴があり、過大評価となる場合もある。

*REACH:化学品の登録、評価、認可および制限に関する欧州議会および理事会規則渳EC渴 No 1907/2006

3 当所における消費者製品のリスク評価例

STにおける消費者製品のリスク評価の例を示す。放散試験において、高い DMF 放散

速度を示した床用敷物について、DMFのヒト取込量を推算した結果を紹介する。

3-1.暴露シナリオ

換気回数0.5回/h、床面積10m2(6畳)の居室の床全面に床用敷物が設置されて状態で、

ヒトが 6.5 時間、その(で過ごした場合を想定した。暴露経路としては、吸入経路と経皮

経路を考えた。人体の接触部位は脚部とした。

3-2.暴露量の推算方法

推算にSたっては、数理モデルIH MOD、IH SkinPermを用いた。設定値の初期放散速

度は、JIS A1901放散試験の1日目の放散速度を用いた。皮膚移行速度については、溶出

試験結果からの算出値を用いた。

3-3.暴露量の推算結果およびリスク判定 3-3-1.吸入経路

The well-mixed room model with a constant emission rateモデルを用いた定常状態推算

暴露濃度は4mg/m3であった。呼吸率を考慮し、ヒト取込量は0.324 mg/kg/dayとなった。

Oた、導出無影響レベルDNEL3.2mg/m3

との比較から、リスク特性比RCR>1となった。

3-3-2.経皮経路

Deposition over timeモデルを用いた経皮吸収量推算結果は50.9mg/dayであった。これ

よりヒト取込量は 0.879 mg/kg/day となった。導出無影響レベル DNEL0.79mg/kg/day

との比較から、リスク特性比RCR>1となった。

* ECHA渳2016渴 ANNEX XV RE湢湣RIC湣I湥N RE湦湥R湣 湦R湥湦湥湢AL F湥R A RE湢湣RIC湣I湥N 湢UB湢湣ANCE NAME: DIME湣HYLF湥RMAMIDE 渳DMF渴

3-3-3.リスク判定

初期的なリスク判定としては、詳細な評価を行う候補と考えられた。放散速度、皮膚移

行速度は、経時的な低下が予想されるので、詳細な推算を別途行う必要がある。

Equation for generation phase

Equation for decay phase

4 おわりに

STにおいては、放散速度、皮膚移行速度の実測データと数理モデルを用いた、詳細な

暴露量の推算とリスク評価を試行している。Oた、他の推算システムの ECETOC-TRA、

ConsExpo 等との比較評価も行っている。経路毎の暴露量を数値的に把握することによっ

て、原因究明や低減対策を講じやすくなることから、今後、消費者製品分野においても、

参照

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